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Wir haben nur gespielt 遊んでただけ

ドイツ映画 (2018)

11歳のヨナは、両親の離婚により、これまで住み慣れてきたベルリンから、母の親権の有効期間、チェコ国境に近い、何もない田舎の一軒家に連れて来られる。母は仕事で一日中家にいないし、おまけに、国境警察で働いている義父までいて、ヨナには、耐えられない生活が始まる。たまたま、義父の車で連れて来られた国境のチェコ側の小さな村。そこで放置されたヨナが冒険に出て、たまたま、それとは知らずに目撃した組織的な児童買春。その犠牲者の一人で、ミーロという非ヨーロッパ系人種の大きな少年〔青年に近い〕に追い払われるが、ヨナは、寂しさのあまりに親近感を覚え、いくら嫌われても会おうとする。その最大の理由は、ヨナの目から見て、母も義父も、ヨナが何を望んでいるか知ろうともせず、自分達の都合だけで扱おうとする態度に、完全に嫌気がさしていたから。ヨナの言動は、ミーロの中に、彼に体を売らせる組織への憎悪をかきたたせ、それが辿り着いた先は…

両親の離婚の最大の犠牲者となったヨナ。両方に親権があるものの、父はベルリンに、母はその200キロ南のチェコ国境の、周りに誰も住んでいない一軒家で義父と一緒に暮らしている。親権の内容は分からないが、ヨナは、田舎の小学校に行かされることになっていて、今は夏休み中。見知らぬ土地に連れて来られ、ヨナは一人寂しく日々を送っている。母も義父も朝から仕事で、ヨナに構ってくれる人は誰もいない。ある日、ヨナは、義父の車でチェコの国境の村モルダヴァに連れて来られたが、義父は彼を車に残してどこかに行ってしまい、一人取り残されたヨナは、我慢しきれなくなって外に出る。そして、さまよい歩くうちに、古い倉庫の前で数人の子がボールを蹴って遊んでいるのを羨ましそうに見ている。そこに現れた年上のミーロは、この倉庫が児童売春の犠牲者の秘密の住処なので、ヨナを乱暴に追い払おうとする。しかし、帰り道が分からなくなったヨナは、履いているスニーカーと交換に、ドイツに連れて行ってやるというミーロの提案にOKする。ミーロは、国境の森に精通しているので、渓流に架かる人道橋までヨナを連れて行き、そこでスニーカーを奪い取る。ヨナは、靴下だけを履いて、橋を渡り、森の中の道なき道を降りて、何とか家まで辿り着く。しかし、ヨナにとって自宅は、居心地が悪いだけの場所で、しかも、何もすることがない場所だったので、翌日には、昨日訪れた国境の森に行き、大きくて古い軍事要塞を発見する。そして、それをミーロに教えて友達になってもらおうと、倉庫まで行くが、そこで見たのは、ミーロが組織のチンピラにより売春行為に数時間貸し出される姿。ヨナは、戻ってきたミーロに、いい場所を見つけたから連れていってあげると声を掛けるが、行くだけで200ユーロも要求される。そんな大金などなどないヨナは、子供を買いに来た車に、ミーロの制止を振り切って乗ってしまう。しかし、すぐに怖くなって、義父は警官だと言って男を脅し、途中で車から追い出される。その夜、母のお金を盗んだヨナは、あくる日ミーロに会いに行き、要塞を見せる。その時、ミーロは要塞の脇にある洞窟を発見する。その帰りに、2人がチェコの国境警察に見つかり、ミーロが逃走したことで、ヨナは義父に叱られる。それでも、ヨナはまたミーロに会いに行く。そして、そのことを家に帰って叱られると、深夜に家出して洞窟の中で一夜を過ごす。翌日、森でミーロと会ったヨナは、ミーロに組織から逃げるようよう勧め、その夜は洞窟で一緒に過ごす。その翌日は、「度胸試し」と称したミーロが、ヨナと一緒に、売春にやって来たドイツ人の車を目茶目茶に破壊する。そして、さらにその翌日、前夜、組織のチンピラと戦ってきたミーロは、ヨナを要塞に連れて行き、ヨナが高所恐怖症を乗り越えられるよう指南した後、自らは飛び降り自殺して、未来のない生涯を終わらせる。

主役のヨナ役はフィン=ヘンリー・レイェルス(Finn-Henry Reyels)。年齢不詳。役柄上の年齢もサイトにより10歳、11歳と 2通りに書かれている。監督のAnn-Kristin Reyels(母)、音楽担当のHenry Reyels(父)の息子。同じ組み合わせで『Formentera』(2012)にも端役で出演している。かなり難しい役どころなので、監督である母の丁寧な指導がなければ、とてもこなせなかったであろう。

あらすじ

映画の最初に題名が映されると、すぐに、運転席の後ろの少年(ヨナ)が、誰もいない運転席に両足を乗せている。そして、次には、両足を抱えて座り込む。その間、車内無線から小さな音が漏れている。如何にも暇を持てあましているといった感じのヨナは、後部座席から、無理矢理に運転席に移ると、無線のマイクを取り上げ(1枚目の写真)、「地球から宇宙へ。僕は孤独な子供です。ここから連れ出して。待ってます。ハロー、誰か聞いてる?」と呼びかける。もちろん、誰も答えない。このことから、2つのことが分かる、①ヨナが、恐らく車内で待っているように言われ、待ちくたびれてしまったこと。②それを言った人物は、ヨナに対し配慮に欠け、ヨナもその人物を嫌っているらしいこと、③その人物は警察と関係があるらしいこと〔パトカーではないが、警察無線を備えている〕。我慢できなくなったヨナは、車から外に出る(2枚目の写真)。ヨナは、すぐ左にある橋の欄干に沿ってぶらぶらと歩く(3枚目の写真)。この写真で、橋のたもとのパーキングの標識の真横の縦長の楕円形の標識には、「CESKA REPUBLIKA(チェコ共和国)」と書かれており、左側に写っているパトカーにも「POCICIE」〔チェコ語〕と書かれている。あとで、この橋の中央には、ドイツとチェコの国旗が立っているので、この小さな川が国境になっている。因みに、町の名前の標識は、「MOL…」としか見えないが、これは「MOLDAVA」のこと。ドレスデンの南南西約40キロにある国境の小さな小さな村だ。ドイツは、個人情報保護などの観点でグーグル・ストリートビューがほとんど見れないので、4枚目の写真は、チェコ側のグーグル・ストリートビューの、“橋の先の茶色と緑の建物”。
  
  
  
  

ヨナは、行く当てもないまま、歩き回り、村から離れた放棄された土地にまで入り込むが、それでも、感じられるのは “寂しさ” だけ(1枚目の写真)。広いコンクリートの舗装の向こうに汚いブロック積みの建物があり、その前で4人のヨナと1人の少女がボールを蹴って遊んでいる(2枚目の写真、矢印は背の高い少年)。子供たちの会話はチェコ語で字幕がないので、何を言っているかは分からないが、そこに2人の少女が来て、1人だけ背の高い少年(ミーロ)に何事かを伝える。すると、しばらくして茶色のアウディがやってきて、ミーロが助手席に乗り、車が動き出すと、他の子供たちが車を押して行く(3枚目の写真)。暇を持て余しているヨナは、そうした様子を、ブロック積みの建物の角に隠れて窺っている。ヨナは、鉄の部分が錆だらけで、随所に落書きのあるドアを開けようとしたり〔鍵がかかっていて開かない〕、なぜか壁際に雨ざらしで置いてあるソファや、その横の物干しに多くの衣料が干してある場所にも行ってみる〔さっきの子供たちの服や下着?〕。ここでも、ドアには鍵が掛かっている。ヨナは、鉄板の上に落ちていた水鉄砲を拾い、それをあちこちに向けて時間を潰す。
  
  
  

すると、「おい!」という鋭い声が聞こえる。ヨナが振り向くと、それは、さっき車に乗って行った ミーロだった(1枚目の写真)。ミーロは、命令口調で何か言う。ヨナは立ち上がると、ミーロに近づいて行く。すると、ミーロは、いきなりヨナの胸を突き飛ばし、何か言う。ヨナが黙っていると、怒鳴り、脅すように何か言う(2枚目の写真)。ようやく、ヨナは、ドイツ語で、「なに言っているのか分からないよ」と口にする。「ドイツ人?」。「うん」。「クソが! 失せろ!」。ヨナは、「道に迷ったんだ。ドイツに戻らないと」と言うと、乱暴者から離れていく。すると、ミーロは 「おい」と呼び止め、「靴を寄こせ」と言う。「なぜ」(3枚目の写真)。「連れてってやる」。ヨナは了解する。
  
  
  

ミーロは先に立ち、どんどん山の中に入って行く。平気で、道などない林の中を走っていくので、後に付いて行くヨナは大変だ。ようやく辿り付いた所は渓流沿いの石の上。すぐ横には、人道橋が架かっている。「あそこだ」。「どうも」。ヨナがそのまま岩の上歩いて行こうとすると、「おい」と声が掛かる。振り向くと、「靴だ」と言われる。ヨナは、こんな山の中で、靴なしで帰れるのか心配して見回すが、何をされるか分からないので、諦めて靴を脱ぎ(1枚目の写真、矢印)、ミーロの方に投げる。そして、靴下のままで岩の上を歩いて行く。そして、何とか人道橋に上がると、両手で鉄柵に触りながら渡る(2枚目の写真、矢印は、もう真っ黒になった靴下)。橋の上から下を見ると、ミーロが靴を持って帰って行く。“これがドイツへの道” だと言われても、橋を渡った後、どこに行けばいいのか分からない。ヨナにとっては初めて山なので、雑草に覆われた林の中の斜面をひたすら下る(3枚目の写真、矢印は靴下だが、痛くないのだろうか?)。山を下りると、雑草の野原に出て、そこを延々と歩くと、野中の一軒家のわが家が見えてくる(4枚目の写真)。
  
  
  
  

無責任な車の持ち主から “いなくなった” という電話を受けていたヨナの母は、我が子が無事に帰ってきたのを見て、抱き締める(1枚目の写真)。母は、「どこに行ってたの? 何かあったの?」と訊くが、返事は 「何も」だけ。本来なら、車の中でどれだけ待っていても、戻って来なかったと伝えるべきなのに、こんな簡単な返事なので、母は、息子が一方的に悪いと決めつけ、「二度としないで」と言う。ここでも、彼は、車の持ち主を責めず、「靴がないから、早く歩けなかったんだ」と、変な言い訳をする。それに対する母の返事は、「なぜ、靴がないの?」ではなく、「毎週、新しい靴を買う余裕はないわ」。「でも、失くしたら、どうすれば? なぜ、パパと一緒にベルリンにいられないの?」。「もう、話したでしょ。一緒にいられる時間は、少ないのよ」。この言葉で、ヨナの両親は離婚し、ドイツでは1998年に「親子法改正法」が施行され、離婚後の共同親権が法制化されているので、ベルリンの父と一緒に過ごすのが待ちきれないことが分かる〔ヨナは、こんな田舎で、無為に時間を過ごしていたくない〕。そこに、男が入って来て、「あちこち、君を探したぞ。黙って いなくなるな」と、自分が放置したことを棚に上げ、一方的にヨナに責任を転嫁する。ヨナは、その “無責任な無慈悲さ” を責めず、「大きなお世話だ」と言っただけ〔余程、相手を嫌っている〕。母は、「ヨナ、何て口をきくの?」と叱るが、ヨナは 何も言わずに2階の自分の部屋に上がって行く。男と2人だけになると、母は、「なぜ、あの子をほったらかしに? 何もかも 私一人じゃできないわ」と、強い調子で男を批判する。「そうだな、君が正しい。悪かった」。男は、ようやく謝る。母と この男が、婚約状態なのか、もう再婚しているのか、この段階では分からない。男は、さらに、「明日、彼に話そう。国境で、あの子たちと一緒だったに違いない」と言う。それを階段で立ち聞きしたヨナは、どこか分からない部屋の片隅で、寂しそうにしている(3枚目の写真)。
  
  
  

翌朝、ヨナが起きてキッチンに行くと、男が食器を洗いながら、「お早う」と言う。ヨナは無視。「昨日はごめんよ」と、ようやく直接謝ったが、その後で、「うろつき回らないと約束してくれ。国境の子供たちは、君に良くない」と付け加える。「うん」。そして、窓の外を見ながら、「自転車があるから、近所で乗り回すといい」と勧める(1枚目の写真)。ヨナも窓辺に行く。「どうだい?」。「いいよ」。「行かないと。1時間で戻って来る」。「うん」。状況から、男は、母の彼氏ではなく、義父だ。母も、義父も、ヨナの朝食を作っておいてくれなかったのか、ヨナは、ラジオをつけ、リンゴを齧りながら時間を過ごす(2枚目の写真)。何かゲームを始めるが、それにも飽き、窓辺に座って義父の帰りをじっと待っている。レースカーテンの向こうに座っているので、窓ガラスに映っているのは森ばかり。ヨナがベルリンに憧れるのもよく分かる。
  
  
  

ヨナは、いつ帰ってくるか分からない義父など無視し、自転車で出かける。快適な森の中の舗装道路を走り、昨日の橋を渡ってチェコに入る。そして、靴を奪っていったミーロがいた建物の近くを走っていると、男と女が言い争う声が聞こえる。何を言っているのか、ヨナには分からないが、チンピラの若い男が、厚化粧の若い女性に向かって、脅すように何度も怒鳴っていることは分かる(1枚目の写真)。見られていること気付いた男が、いかつい姿でヨナの方に歩いて来たので、ヨナは慌てて逃げる。そのあと、ヨナは本道に戻ると、ホテル・レストランの前を通っていくが(2枚目の写真)、ここがグーグル・ストリートビューで確認できた、2ヶ所のうちの2番目(3枚目の写真)。場所は、最初の国境から4キロ少々南南東にあるMikulovという、別の もう少し活気のある村〔映画の中では、このホテルが国境の近くにあるように描かれている〕。ヨナは、もう一度 汚いブロック積みの建物の方に行くと、昨日の子供たちが、サッカーゴールが1つだけ置いてある野原でボール蹴りをしているのが見える(3枚目の写真)。そこには、ミーロはいない。そこで、家に帰ることにする。
  
  
  
  

家に戻ると、母が大きなフラワーポットに、10数鉢の花の咲いた苗を、ポリポットから抜いては植えている。「どこにいたの?」。「ボール蹴り」。「誰と、ボール蹴ってたの?」。「何人かの子」〔見ていただけで、参加はしていないが、近くにいたことに嘘はない〕。母は、苗のいっぱい入った木箱を、ヨナにポットまで持って来させる。そして、「靴は あった?」と訊く。「あちこち、探した」。「脱ぎっ放しにするからよ」。「しないよ。ところで、国境のどこが悪いの?」。「国境では、違法行為が野放しなの。麻薬とか」。「子供で 稼いだり?」(1枚目の写真)。この言葉で、母はピンと来る。「あなた、また行ったのね? 一人では二度と行かないで」。「行かないよ」。「子供たちと話したの?」。「ううん」。義父が帰ってきて、3人でトランプをしながら、「君は、子供たちと一緒にいたんだって?」と訊く〔そもそも、約束通り1時間で帰って来ていれば、ヨナは出かけなかった。この男には、反省の色が全く見られない〕。ここで、母がゲームに勝ち、2人はキス。見たくないヨナは顔を背ける(2枚目の写真、矢印)。そのあと、母のスマホに電話が入る。それは、別れた夫からだった。「もしもし。ええ、順調よ。何て? そんなこと議論したことないわ。私、融通がきかないの。仕事が山ほどあるから」。ヨナはきつい言い方に眉をひそめる(3枚目の写真)。「ヨナと、今、バカンスを取りたいのね?」。これは、実現すれば、ヨナには朗報だ。こんな地獄から抜け出せる。
  
  
  

翌日、ヨナは、自転車で渓流の人道橋まで来る(1枚目の写真)〔どうして道が分かったのだろう? 靴を奪われて歩いて戻った道は、自転車では通れない。立派な人道橋で、橋の先には人が歩ける通路があるので、そこを通ってきたとしか思えないが、母や義父に訊くこともできないので、どうやって見つけたのだろう?〕。人道橋の上は、危険なので、自転車を引いて渡る。そして、靴を脱いだ辺りまで降りて来る。そこから、また、どうやって辿り着いたのかは分からないが、チェコ側の未舗装道路を自転車で走る。その先にあったのは、第二次大戦中のコンクリートでできた軍事要塞〔弾痕が一杯ある〕。ヨナは、初めて見る物なので、一番下に立って、上を見上げてみる(2・3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

そして、3度目の汚いブロック積みの建物。男の子4人がボールを蹴って遊んでいる。少し離れた所では、女の子だけ6人が固まって何か話している。そこに、濃い青緑色のBMWがやって来る。今度助手席に乗ったのは、ヨナと同じくらいの年の男の子(1枚目の写真、矢印)。左端には、昨日、チンピラと言い争って負けた女性がいて、それを監視している。車が出て行くと、女の子達が、音楽に合わせて体操のような踊りを始める。ヨナが、じっとそれを見ていると、それに気付いた一人の子が踊りを止めて寄ってくる。そして、何か話しかける。「分らないよ」。女の子はすぐにドイツ語に切り替え、「誰なの?」と訊く。「ヨナ」(2枚目の写真)。そして、「背の高い子、どこか知ってる? おととい、トレーニングウェア着てた」と訊き返す。「男の子は沢山来るわ。明日来るかもしれないし、来ないかも。もう一度、来てみたら」。それだけ言うと、ヨナの自転車に手をかけ、「これ、もらう」と言うと、勝手に乗り(3枚目の写真)、あっという間に走り出し、それを他の5人の女の子が追いかけて行く。ヨナは、自転車を返してもらおうと、追いかける。
  
  
  

そして、一周して建物の前に戻って来た時、ミーロが横から飛び出して来て、追いかけているヨナを捕まえる。そして、「また、ここに来やがったな」と言うと(1枚目の写真、矢印は盗まれた自転車)、乱暴に腕を掴み、「女の子に何する気だ?」と訊く。そこに、つかつかと寄って来たのは、チンピラ。少年の首を掴むと、顔でヨナを指し、何事か訊く。少年は、相手が偉い人のように答えると、いきなり顔を殴られる。チンピラは、ヨナを睨むが、何もせずに去って行く。ヨナは、少年のところまで走って行き、「なぜ、あんなことさせるの?」と訊く(2枚目の写真)。少年は、親切なヨナを突き飛ばすと、「余計なお世話だ!」と怒鳴る。その時、チンピラが 「ミーロ!」と呼ぶ。ヨナは 「僕が何をした?」と文句を言うが、誰も聞かない。チンピラは、以前と同じ茶色のアウディの運転手に「100」〔撮影時、約13000円〕と言い、お金をもらうと立ち去る。ミーロは、運転手の所まで行くと、「お望みは?」と訊き、「お前の手がやれること」と言われる。ミーロは一旦建物の中に入って行くが、その途中で、ヨナのお腹に一発食らわす。ヨナが、殴られないよう、隠れて見ていると、方向を変えて来た車の助手席にミーロが乗り込む(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

ヨナは、待つことには慣れているので、そのまま周辺で時間を潰す。近くにいた うるさく吠える犬が、慣れて吠えなくなった頃、さっきの車が戻ってきて、ミーロが降りる(1枚目の写真)。ヨナは、すぐにミーロの所に走って行き、「いい場所、見つけた」と話しかける。「だから?」。「見せてあげる」。「見に行くが、金を払え」。「幾ら?」。「200ユーロ」(2枚目の写真)。「そんなに持ってない」。そこに、1台の車がやってくる。ミーロは、「あいつらは持ってる」と言う。それを聞いたヨナは、「やめろ!」と止めるのを無視し(3枚目の写真)、その車に向かって走って行き、助手席に乗り込む。
  
  
  

助手席に乗ったヨナが、窓を開けると、運転している男は、直ちに 「窓を開けるな」と命じる。その言い方が気に食わなかったのか、ヨナは、「僕すぐにドイツに帰らないと。両親が心配するから」と言う(1枚目の写真)。反応がないので、「義父は警察で働いてるよ。指揮官なんだ〔正しくは、後で分かるがドイツ連邦警察の捜査官〕。分かった?」。その言葉に、怖れをなした男は、「一緒に楽しむんじゃないのか?」と言うと、すぐに車を停め、手を伸ばしてドアを開け、「出てけ」と、ヨナを追い出す(2枚目の写真)。ヨナは、仕方なく 森の中に入って行く(3枚目の写真)。
  
  
  

何とか家まで辿り着いたヨナに、母は 「楽しかった?」と訊く。「まあね」。「もっと話してくれない?」。「ホントは、つまんなかった。正直言って、僕一人で、丸一日、何ができる?」(1枚目の写真)。「私が訊いたのは、何をしたのということよ」〔ヨナの心情を全く無視〕。「3人の子と一緒だった。ダイ、マーク、ポール、それに犬」。「どんな犬?」。「ジャック・ラッセル・テリア」〔全く違う犬〕。そして、「小遣いはいつもらえるの?」と訊く。「さあね。その子たち、幾つ?」〔何て、冷たい母親〕。「僕ぐらいか、少し年下」。「なら、クラスメイトになるかもね」〔ヨナは、ベルリンではなく、こちらの学校に行かされる?〕。「ちょっと ボール蹴りしただけだよ」。母は、ヨナのベッドの布団の上に置いてある枕を取ると、真っ白な壁に描かれた絵を見て、「これ何なの? 何てことしたの! いったい何の積りなの?!」と、ヒステリックに怒る〔親権を持つ資格なし〕。「ウェブからのコピーだよ」。「ヨナ、どれも最悪、ひどいものよ!!」(2枚目の写真)。ヨナは母に愛想が尽きて、机の方を向く。「私の言ってること 分ってるの?!」〔「親子法改正法」は間違っている〕。その夜、ヨナは、こっそり起きてくると、お金を盗むが(3枚目の写真、矢印)、200ユーロには到底足りない。
  
  
  

翌日、ヨナとミーロは、渓流のところまで一緒に行く。ミーロは、「昨日は、なぜ あんなことした? あいつらクソだぞ。お前、どうかしてる」と言う(1枚目の写真)。「どういうこと?」。「なぜ車に乗った? あいつは小児性愛だぞ、お前バカか?」(2枚目の写真)。ヨナは、それ以上、その話を続けたくなかったので、立ち上がると歩き出し、「来て」と呼ぶ。ヨナは急斜面を降りて、要塞までミーロを連れて行く。現場まで行くと、ミーロも興味を持ち、勝手に中に入って行き、てっぺんに近い場所の端に座り、草笛を吹く。ヨナは、その下で、ミーロを見ている。ミーロが、「どうした? 上がってこいよ、クソチビ。何を怖がってる? 来い」と言うと、「行かないよ。高すぎる」と断る(3枚目の写真)。「家に帰りたいのか?」。「高所恐怖症だ!」。ミーロは、飛び降りると、「金はどこだ?」と請求する。ヨナは、昨夜盗んだお金を渡し(4枚目の写真、矢印)、「これで全部」と言った後で、「友だちに払わせる気かい?」と訊くが、ミーロは、「お前は友だちじゃない」と、冷たく言う。
  
  
  
  

ミーロの姿が消えたので、ヨナは要塞から出て、脇の林の方に行ってみる。そこには、洞窟があって、ミーロが中に入って行く。ヨナも狭い入口から中に入ると、そこは足を動かす度に石がごろごろと転がって行く急斜面(1枚目の写真)。そこを降りきると、立ち上がることのできる場所に着く(2枚目の写真)。そこまでは、何とか太陽の光が届いているが、その先は真っ暗。ミーロが手に持っているライターの光だけが頼りだ。ヨナは、「すごい。いいじゃん」と喜び、「中がちゃんと見える。君に会えて良かった」と言うが、その途端、ミーロは火を消して真っ暗にする。「何するんだ?!」。「お前は友だちなんかじゃない!」。そう言うと、ミーロは、そのまま洞窟を出て行く。
  
  
  

外に出て、どんどん歩いて行くミーロに、ヨナは走って行き、背中に飛びかかる。そして、ミーロに馬乗りになるが、体の大きさの差は如何ともし難く、あっという間に逆転される。ミーロは、ヨナを上から押さえると、「いつまで 付いて来る気だ?」と訊く。「離れないからね!」(1枚目の写真)。次のシーンでは、2人は10メートルほど離れ、ミーロが用を足している間、ヨナは背を向けて切り株に座っている。用を足し終えたミーロは、落ちていた枝を拾うと、切り株に投げつける。3つ目はヨナの背中に当り、ヨナはミーロに向かって枝を投げつける。この投げ合いが一段落すると、2人は、山腹を流れる幅50cmくらいの水流の岸に座る。ヨナは、「彼はなぜ、君を駐車場に引っ張り込んだの?」と尋ねる(2枚目の写真)。ミーロは何も言わない。「言えないの?」。「質問ばっかりだ?」。すると、遠くで、枝の折れる音がする。2人が林に目を向けると、木と木の間を横切る姿が、時々ちらりと見える。じっと見ていると、急に3人の黒服姿が見え、ミーロは、小声で、「来い、逃げるぞ」と言う。「あいつら、何?」。逃げようとした時には、先回りしていた制服姿の男の1人にミーロが捕まる。制服男は、ミーロに何か言うが、ヨナには分からない。彼は、きょとんとしたヨナの金髪を見て、「君はドイツ人か?」と、たどたどしいドイツ語で訊く。「ここは、国境エリアだ。国境エリアで、一体何をしてた?」。ヨナは、「遊んでたら、森の奥深くまで入っちゃったんだ」と、ある意味、正直に答える。「君は誰だ?」(3枚目の写真)。「父さんに電話する? どうぞ、警察で働いてるんだ」。「本当か?」。「母さんが話してくれる」。映画では、ヨナは何も言わないが、スマホの電話番号は教えたに違いない。男達の1人が、携帯を取り出して電話をかけ始めたからだ。その隙をうまくとらえてミーロは逃げ出す。ヨナも逃げようとするが、当然、逃げられず、立場が悪くなっただけ。
  
  
  

場面は、ヨナの義父の車内。義父は、国境警備にあたる実働部隊の指揮者なので、自分の継子が国境エリアで拘束され、もう1人が逃げたことは不名誉な出来事だった。そこで、ヨナには、「君は、私を非常に不快な立場に置いたってことを知って欲しい」と苦言を呈する。ヨナは、ミーロのことを、「彼は、いつも国境にいるみたいだけど、それしか知らない。彼が、そこで何してるのか、何も知らない。知ってることは話した。ねえ、いい、僕 ホントに何も知らないんだ」と自己弁護する(1枚目の写真)〔確かに、ミーロは 自分のことを何も話さない〕。「分かった。だが、私に尋ねる必要があったことは、理解しないと。気を楽に。これは2人だけの話にしよう。もし、君が、二度と国境エリアに行かないと約束するなら」。次のシーンは、自宅。国境エリアで連絡がうまくつかなかったのを踏まえてか、義父は、ヨナにスマホをプレゼントする(2枚目の写真、矢印)。ヨナは、義父に対して 初めて笑顔を見せる(3枚目の写真。矢印)。
  
  
  

ヨナは、「自転車を取って来る」と、嘘を付いて家を出る。そして、「二度と国境エリアに行かない」という約束も破って、ミーロを探しに山に入って行く。ミーロを渓流のそばで見つけ、彼が考え込んでいるのを心配したヨナは、「どうしたの?」と訊く。ミーロは、あくまで自分のことしか考えない。「俺のこと、しゃべったか?」。「何も」。「あちこちで話したくせに、またここに来やがって」。「だけど、僕…」。「なぜ、俺と一緒にいたと言ったんだ? 警官は全部知ってるぞ」。その時、ヨナのスマホが鳴り、彼は、それに出るのではなく、「これ、売れよ」と差し出す。欲張りミーロも、さすがに、受け取らない。優しいヨナは、「ウチに来て、あそこで何が起きてるか、母さんの友だち〔義父〕に話すといい。奴らに何をさせられてるか、打ち明けられる」と勧める(2枚目の写真)。そして、特に、殴られて黒くなったミーロの唇を意識して、「大人が、子供をぶっちゃダメなんだ」とも言う。「お前は正しい」。「君を助けたい」。「誰にも助けられん」。この言葉に悲しくなったヨナは、持って来た本物の手錠(3枚目の写真)を自分の腕にはめてみる〔なぜ、そんなものを持ち出したのだろう? 理由は、“あとで映画で使うから”? それでは、いくらなんでもひど過ぎる〕。それを見たミーロは、「見せろよ」と言い、ヨナは素直に渡す。「これ、どこで?」。「関係ないだろ」。しばらくして、ヨナは 「僕が言ったこと、考えてみた?」と訊いてみる。「何を?」。「やり直すんだ。君の人生に必要な変化だよ」(4枚目の写真)「これを乗り切り、正常に成長すれば、自分で自分の運命を決められる。もう悩まなくていいんだ」。「なぜ?」。「誰にも成長する権利があり、それを妨げることはできない」。「俺は、どうすればいい?」。「君の中にいる “子供” を捨てて、最大の恐怖を乗り越えるんだ。できる?」〔ヨナは、急に成長し、素晴らしいことを口にする。ただ、水を差すようだが、11歳の子に、こんなことが言えるものだろうか?〕
  
  
  
  

ヨナが、家に戻ると、中から激しい母の言葉が聞こえてくる。「もう終わりよ。あなたが何に夢中になっているか分からないけど、警察が私の息子を国境から家に連れて来たのよ!」。「落ち着けよ」。「で、次に、どうなるの?! 何か言ってよ!」。ヨナは、外でこっそりそれを聞いていたが(1枚目の写真)、ここで、急に家の中に入って行き、「やあ、母さん」とだけ言い、すぐ2階に上がろうとする。母は、飛んできて、「どこにいたの?! また彼らと一緒だったの?!」と、ヨナの腕を掴んで訊く。「僕たち、ボールを蹴ってた」。「もう、あの近くには二度と行かないって言わなかった?」。義父もやってきて、「またか?!」と指を突き付ける。「私たちが どんなに心配してるか知ってるでしょ? 何も理解してないの?」。「君は、携帯電話を持ってるから、使うことができたハズだ!」。ヨナは、スマホを取り出すと、「ほら、見て。使い物にならない。こんなゴミ要らない」と言って 投げ捨てる。それを見た母は、「あなたはね、明日、お祖母ちゃんの所に行くのよ!」と最後通牒。それを聞いたヨナは、顔を歪めて、「もううんざりだ!!」と母に向かって怒鳴ると、2階に上がって行く。
  
  
  

その夜、気心が合わない母と、憎たらしい義父に “もううんざり” したヨナは、寝具代わりになる物を被って家を抜け出す(1枚目の写真)。向かった先は洞窟。小型のLED懐中電灯を持って行ったので、ライターの時よりは、中の様子がよく分かる。ヨナは、横になっても痛くないよう寝具代わり物を下に敷き、その上に横になる、しばらくは懐中電灯であちこち照らして岩肌の様子を見てみる(2枚目の写真)。翌朝、ヨナは水着姿になると、渓流まで行き、シャワー代わりに水に入ると、体をのびのびと伸ばしてリラックスする(3枚目の写真)。家で、母がどれだけ心配していようが、ベルリンにいる父の方が好きなヨナにとってみれば、そんなことは “知ったこと” ではない。
  
  
  

ヨナは、Tシャツに着替えると、通い慣れた道を走り、汚いブロック積みの建物まで行く。ソファの上に1人で座っていたのは、時々見かける大人の女性(1枚目の写真)。ヨナは、さっそく、「ミーロを探してる。彼を見てない?」と訊いてみる(2枚目の写真)。「彼、今日は来てない。心配しないで。男の子たちはいつも戻って来る。どこにも行かないわ」。そう言うと、「もっと、近くに来ない?」と誘う。ヨナは素直に、女性とは少し距離を置いてソファに座る。「ここは いいトコよ」〔ヨナを勧誘してるのだろうか?〕。「彼、戻ったら、いつもここにいるの?」(3枚目の写真)。「そうよ、いつも彼に会うわ。待ってるの?」。「彼について、何か教えてくれる?」。「ミーロはロシア出身。ここからとっても遠い所」〔いわゆる東スラヴ人ではない。最初にヨナに向かって怒鳴った言語が、チェコ語でもロシア語でもないので、どこかの少数民族?〕。「両親はいないの?」。「ここには、いないわ。両親が、彼をここに送ったのよ。恐らくね」〔人身売買〕。「どう言う意味?」。「彼は、今、ユーレック〔時々出て来るチンピラ〕のものなの。ユーレックなら、彼がどこにいるか、ちゃんと知ってるわ」。ユーレックに見つかったら “ヤバい” と思ったヨナは、「彼を見つけないと」と言って、ソファを離れる。
  
  
  

ヨナが要塞まで来ると、近くの森の中にミーロがいた。ヨナが 「僕は行くよ」と言うと、ミーロも 「俺もだ」と答える。そして、持っていたビンの中身を缶に注ぎ入れてヨナに渡し 「乾杯しようぜ」と言う。2人は、ビンと缶を合わせて乾杯する(1枚目の写真)。一口飲んだヨナは、中身が強い蒸留酒なので、すぐに吐き出し、それを見てミーロが笑う。ミーロは 「俺たちは 逃げられたと思う。素早やくやったから、何かできるんじゃないか」と言い出す。そして、昔、スペインに彼女と一緒に小屋にいた時、悪い奴らに襲われた時のことを、「俺は、怖くて何もできなかった」と告白し、「俺はもう 弱虫にはなりたくない」とも言う。そして、立ち上がると、ヨナに向かって 「来いよ、最初の一歩を始めるぞ」と誘う。何をしたかといえば、ヨナに自分の首を絞めさせたこと。苦しくて仰向けに倒れたミーロの横に、同じように横たわったヨナは、「どんな感じ?」と訊いてみる(2枚目の写真)。返事がないので、「聞いてる?」と言う。ミーロは、指を唇に当てて 「しーっ」と言う。ヨナは、体を起こすと、無意味なことをやらされたことに腹を立て、“こいつ、何を考えてる” といった目でミーロを見る。次のシーンでは、2人は、いつもの渓流に行く。ヨナは、砂地の川原でオタマジャクシを見つけミーロに見せる。そして、「洞窟に住む気ある?」と訊く。ミーロは肩をすくめる。ヨナは、次に、「最初の一歩が終ったら、君とは別れるよ。父さんに会いに、ベルリンに行くんだ。でも、父さんは、もう僕を必要としていないかも」と、話す。ミーロは、「度胸試しが済んだら、俺は、誰も必要としない」と、ヨナがいなくてもいいと明言する(3枚目の写真、手に持っているのはオタマジャクシ)。
  
  
  

その夜、2人は、洞窟で過ごす。ヨナにとっては2晩目だ(1枚目の写真)。そして、翌朝も渓流。2人は水を掛け合って遊ぶ(2枚目の写真)。どのくらい長く潜っていられるかの競争では、ヨナが完敗する。そのあと、ミーロは石を投げて水切りさせ、それができないヨナは、大きな石を水に投げ込んで遊ぶ(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

ヨナは、野原に行った時、草むらの中で、足に傷を負ったウサギを見つける(1枚目の写真)。それを見たミーロは、「俺に寄こせ」と言い、ウサギをもらうと、片手でウサギの前脚、もう一方の手で後ろ脚を持つと、近くにあった木の小屋の壁に いきなり叩きつける〔何という残酷な人間〕。ヨナは、「やめろ! 何するんだ?! よく、そんなことできるな?!」と叫んで止めようとするが、ミーロはもう一度叩きつける(2枚目の写真、矢印はウサギ)。怒ったヨナは、ミーロなんか無視して、小屋から去って行く。ミーロは走ってヨナに追いつく。ヨナは 「頭が変だ! 可哀想に!」と責める。「殺す必要があった」。「そんな必要なかった」(3枚目の写真、矢印はウサギの死骸)「とにかく、行くぞ。度胸試しができる場所に行かないと」。「僕には、もう友だちがいない」。「俺もだ」。「で、どうする?」。「古い採石場に行き、そこで待ってろ」。
  
  
  

ヨナが、石の壁に隠れて見ている(1枚目の写真)。映画では、ミーロが小児性愛の男と何事か話し合う声だけが聞こえる。すると、画面が切り替わり、いきなり、茶色のアウディのヘッドライトに大きな石がぶつけられて割れる。「何をしやがる?!」。そして、車内からの映像。男の手は、手錠でハンドルに繋がれ、“度胸試し” に参加したヨナが、フロントガラスに石を叩きつける(2枚目の写真、矢印は手錠)。「このクソチビ! 俺は金持ちだぞ! 幾ら欲しいんだ?」「ただで済むと思うな! 止めんか、クソチビ! 痛い目に遭うぞ!」。こんな言葉に構わず、ヨナはガラスを叩き続ける。ミーロは、男からパスポートを奪う。そして、ドアミラーを足で蹴って破壊する。ここで、カメラは、遠望に切り替わる。ヨナは、車のルーフによじ登ると、その上で飛び跳ね始める。ミーロは、トランクを開けると、中に入っていた物を放り出す」(3枚目の写真、矢印)。このあと、2人は、車の前フェンダーを足で何度も蹴って凹まし、ボンネットを石で徹底的に傷付けた上で、2人でその上に乗って、足で踏みつける。車は、完全に廃車だ。終わった後、ヨナは、ミーロに、「僕、すごく怖かったから、ちびりそうだった」と打ち明ける。パトカーのサイレンの音が聞こえたので、2人は走って逃げる。
  
  
  

ヨナが、洞窟で3晩目の夜を過ごし 目覚めると、横に寝ていたミーロがいない(1枚目の写真)。ヨナが、外に出て行くと、ミーロの背中には傷があり、そして、袋に持ち物を詰めている。「それ〔傷〕、どうしたの? 何があったの? なぜ、荷造りしてるの?」(2枚目の写真)。この映画の最大の欠点はドイツ語字幕が存在せず、正しいかどうか分からない英語字幕しか存在しないこと。だから、次の会話は、はっきり言って意味不明。可能性としては、背中の傷は、夜のうちにミーロが出掛けてユーレックと争った時のもの。ミーロは、「行くぞ。2時間で 俺はいなくなる」と言い、2人は一緒に車跡のある草だらけの道を歩く。そして、崖っぷちまで行くと、ミーロが、「ユーレックには二度とさせん。俺を売るような真似は終わった」と静かな声で言う(3枚目の写真)。「これから、どこに行くの」。「ドイツじゃない。ずっと遠くだ」。「でも、奴に殺されちゃう」(4枚目の写真)「ここなら、隠れてられる。食べる物 何か持って来くるよ」。「奴は、俺を見つけ出す」。
  
  
  
  

2人は、また要塞に戻る。要塞の最上部に登った2人。ミーロは、高所恐怖症のヨナを抱きしめ、「心の準備は? いいか、簡単なことだ」と励ます(1枚目の写真)。ミーロは、突起の上に立ち、両腕を水平に拡げて目を閉じる(2枚目の写真)。「次は、お前の番だ」。ヨナは端ぎりぎりまで進むと、左手をコンクリートの壁に添えて体を支えながら、右腕を徐々に上げる。そして、左腕も壁から放し、水平にする。そして、思い切って目を閉じる(3枚目の写真)。
  
  
  

すると、しばらくして、ドサッという音が聞こえる。ヨナが振り返ってみると、ミーロの姿がどこにもない。恐る恐る下を覗くと、そこにはミーロが横たわっていた(1枚目の写真)。ミーロが 「ドイツじゃない。ずっと遠くだ」と言っていたのは、このことだった。それを知ったヨナは、顔を覆って大声泣き出す(2枚目の写真)。ヨナは、泣きながら森の中を走り、辺りが暗くなった頃、最初の4節と同じ形で、野中の一軒家のわが家に帰って行く(3枚目の写真)〔3日間の家出の後の帰宅。小児性愛の男はパトカーを呼んでいた。プラス、ミーロの死。このあと、ヨナは どのような裁定を受けるのだろう?〕
  
  
  

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